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Azure Site Recoveryのリージョン間レプリケーションを利用したDR構成の実現【概要編】

2017年11月 / by 宮澤聡

Microsoft Azure 技術ブログ

せっかくクラウド上にシステムを構築しても、BCP対策としてバックアップセンターまでの構築はコスト的にちょっと・・・。という方に朗報です。

この度、サイト間復旧サービスであるAzure Site RecoveryにAzureリージョン間の仮想マシン(VM)のレプリケーション機能が追加されました。

ここでは、この追加機能の概要と具体的な設定方法を紹介します。


1. Azure Site Recoveryとは

Azure Site Recoveryは、オンプレミスのプライマリーサイトにある仮想マシンや物理サーバーを継続的にレプリケートし、障害発生時にセカンダリーサイトのサーバーにレプリケーションすることで障害から素早く復旧するためのディザスターリカバリー(DR)サービスです。
2017年5月に機能拡張され、オンプレミスからだけではなくAzure上のリージョンをプライマリーとする構成が可能になりました。

現時点では、以下の3つのレプリケーションシナリオが存在することになります。

  1. オンプレミスの仮想マシンと物理サーバのオンプレミスのセカンダリーロケーションへのレプリケーション
  2. オンプレミスの仮想マシンと物理サーバのAzureへのレプリケーション
  3. リージョン間のAzure VMのレプリケーション(プレビュー)

本記事では、3.のリージョン間レプリケーションを利用したDR構成についてご紹介します。

なお、執筆時点では本記事でご紹介する機能はプレビューです。正式リリース時の内容と異なる可能性がありますのでご注意ください。

 

2. リージョン間レプリケーションによるDR構成の特徴

(1) ストレージのレプリケーション

ストレージアカウントを利用してデータを非同期に転送する仕組みです。よって、現時点ではストレージアカウントしかサポートされていません。また、非同期転送ですので、ある程度のデータロスが許容できるシステムでのみ利用可能です。データベースはAlways On構成で同期しておき、アプリケーションサーバーはこの機能を使うなどといった使い分けをご検討いただくとよいと思います。

保護できるワークロードについては「Azure Site Recovery で保護できるワークロード」をご参照ください。

なお、データの整合性についてですが、仮想マシン内のアプリケーションデータのポイントインタイムスナップショットが取得可能です。 ボリュームシャドウ コピーサービス (VSS) によって、スナップショットの作成時、VM 上のアプリの整合性が維持されます。

(2) 簡単なデプロイ

単純な構成であれば、30分~1時間程度でデプロイ可能です。

(3) テスト可能なDR構成

実行中のレプリケーションに影響を与えずに、DRのテストフェールオーバーを簡単に実行できます。

(4) DR作業自動化

 Azure Automation等を利用してフェールオーバー/フェールバックをトリガーすることが可能です。

(5) コスト

プライマリサイト上の保護する仮想マシン1台につき月額2550円がかかります。

また、上記に加えてSite Recoveryで利用したストレージアカウント、ストレージトランザクション、送信データ転送に対する課金が発生します。

なお、通常稼働時は、セカンダリーサイト側で仮想マシンを起動しておく必要がないため仮想マシンの課金が2倍になることはありません。

 

3. リージョン間レプリケーションのプロセス

下図のような簡単なシステム構成でご説明します。

※プロセスについては公式ドキュメント「Azure から Azure へのレプリケーション アーキテクチャ」に図解入りでも詳細に説明されています。

Azure から Azure へのレプリケーション アーキテクチャ

(1) Azure VMレプリケーションの有効化

レプリケーションを有効にすると、ソースリージョン(プライマリーサイト)の設定に基づいて以下の5つのリソースが自動的にターゲットリージョン(セカンダリーサイト)に作成されます。(※あらかじめターゲットのリソースを作成しておいて、それを選択することも可能です)

  • リソースグループ
  • 仮想ネットワーク
  • キャッシュストレージアカウント
  • ストレージアカウント
  • 可用性セット

また、対象の仮想マシンにSite Recovery 拡張機能のモビリティサービスが自動的にインストールされます。(下図参照)

モビリティサービスが自動的にインストール

 

(2) ターゲットリージョンのストレージアカウントへデータの転送

レプリケーションの有効後、継続的にキャッシュストレージアカウントにデータが転送されます。その転送されたデータはSite Recoveryによって処理され、復旧ポイントが数分ごとにターゲットリージョンのストレージアカウントへ転送されます。

 

 数分ごとにターゲットリージョンのストレージアカウントへ転送

 

(3) フェールオーバー

フェールオーバーの開始時、仮想マシンがターゲットのリソースに自動的に作成されます。

仮想マシンがターゲットのリソースに自動的に作成

 

(4) フェールバック

仮想マシンを再保護し、フェールオーバーすることで元のソースリージョンにフェールバックすることが可能です。

 

4. 制限事項

利用可能なOSや仮想マシンの構成等に制限があります。また、フェールオーバーされるリソースにも制限があります。

詳細は公式ドキュメント「Azure 間でのレプリケートに関する Azure Site Recovery のサポート マトリックス」をご参照ください。

ExpressRouteやVPNをご利用の場合はガイドラインをご参照ください。

 

長くなりましたので、設定については次回の記事にてご紹介します。

Topics: Azure Blog

執筆者 宮澤聡


Azure担当エンジニアです。

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